美術展命の男のブログ

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美術にぶるっ! 東京国立近代美術館 その1

東京国立近代美術館で開催中の「東京国立近代美術館60周年記念特別展 美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」を見てきました。ブロガーデーというものにご招待いただきまして初めて参加させていただきました。

鑑賞会の前に講堂でミニレクチャーがあり、担当学芸員の展覧会紹介を聞くことができました。初めて地下の講堂に行きました。こんな広くて綺麗な講堂があったのですね。

4階から2階までのコレクション展示室が10年ぶりにリニューアルされました。2002年のリニューアル以前の美術館の空間も今思えばよかったなと思います。私は1990年代しか知りませんが、昭和の美術館の雰囲気を平成の世でも十分に堪能することができる空間でした。今、1Fロビー部分も展示室になることがあったり、1Fから2Fにかけて螺旋階段があったり、展示室が段々になっていたり面白いものでした。昔は下から上へと見に行く感じで4Fで展示室を出ると今皇居を望める休憩所になってる付近にはソファがあって喫茶もありましたね。あの感じも昭和から続く雰囲気でなんともよかったです。

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この段々になってるのって谷口吉郎設計ならではだったのですね。どこかで見たようなと思ったら東京国立博物館の東洋館もこれに似たスタイルの空間があった。こちらも谷口吉郎設計。今気づいた(笑)

これはこれでよかったのですが、この空間はフラットにされ現在の展示空間になりました。そして今回は展示室に展示室を作るといったリニューアルや日本画をより見易くなどといった工夫がされています。

現在開催中の「美術にぶるっ!」はコレクション名品展ではなく特別展となっています。

4Fから2Fにかけて
第Ⅰ部 MOMATコレクションスペシャルとしてコレクションから人物画や風景画、戦争画、写真、日本画、海外作品などとテーマごとに展示されます。「近代日本の美術」とい常設展の名称が「MOMATコレクション」に変わりました。重要文化財13点が一挙公開されるのが最大の目玉となっています。

1Fの空間では
第Ⅱ部 実験場1950s
50年代美術の精神と活力を、同時期誕生した近代美術館への含意も込めて「実験場」というキーワードで捉える特別展です。4Fから2Fは所蔵品ですが、こちらは借用した作品ばかりが構成された展示になっています。

総数500点を超える展覧会です。歩き慣れた靴でどうぞ。

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以前と同じでまずエレベーターで4Fへ上がります。

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エレベーターを降りて右へ向くと前と違う!かなり変わってるんです。3Fのエレベーターホールにあった図書コーナーがこちらに来ています。この左奥へ入っていくと皇居を望める「眺めのよい部屋」があります。以前より自然で入りやすい導線になったと思います。

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左手にはこの展示室

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ハイライト作品を展示する空間ができました。この展示室の手前が白い空間なので黒い空間の出現に思わず美しいと驚きます。作品にだけ集中させてくれるような空間です。床の黒い木は艶が消してあってその効果も美しい。ピッカピカだとガラスに映りこんじゃいますからね。

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横山大観《生々流転》も展示中です。壁の両面にベンチがあって作品とじっくり向き合うことができます。長い展示ケースがどかされ油彩が展示されるようにもなるのでしょうか。

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図書コーナーを前にして見た右手にはこの展示室 新しい位置に壁ができています。以前は細長い空間ができており歩きながら鑑賞するスタイルを取りがちだったのが細かい部屋に分けることにより1点、1点鑑賞しやすくなりました。ハイライトコーナーの次は1952年に京橋に東京国立近代美術館ができた時の収蔵品から展示が始まります。東京国立博物館に移管された浅井忠、黒田清輝の重要文化財と青木繁も展示されています。(11月25日まで)

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以前も壁はところどころあったのですが、上部にもつけて門のようにすると不思議なことにしっかりとした部屋になるんですね。通れる幅を以前より狭くして壁部分を増やしたのももちろんありますけどこんなに印象が変わるものなのかと。洗練されていて見ていて楽しかったです。やはり作品に集中しやすいですね。

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大きさの異なる3つの部屋が幅の異なる門で仕切られています。隣りの空間を少し見ることができます。完全に壁で塞ぐのとこの効果は全く違いますね。画面中央に見える門には今回の展示ではロープが張られていましたが、このロープを別の門に張ることで通り道の順序を変えたり、1部屋を独立して使うこともできると思うので今後、フレキシブルに使えるのではないでしょうか。

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人物画、風景画と主題を分けて展示されています。彫刻だけが数点並ぶ部屋もこれまたいいですね。新海竹太郎《あゆみ》、ブロンズは見慣れてますが、貴重な重要文化財の石膏原型が登場しています。

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柵もいい感じ。昨年から今年頭にかけて開催された「ぬぐ絵画-日本のヌード 1880-1945」でも使われいた木とロープによる柵です。ぬぐ絵画の展示の時にこれいいなと思いましたが、こちらでも採用されたのですね。金属だったり極太の縄が掛けられるのとは随分と印象が異なり優しく温かい感じがしていいです。

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左:重要文化財 岸田劉生《道路と土手と塀》(切通之写生)1915年 油彩、カンヴァス 56.0×53.0cm
右:参考図版  岸田劉生《代々木附近》1915年 油彩、カンヴァス 37.7×45.4cm

岸田劉生《道路と土手と塀》ももちろんいます。コレクションの中でも最も強烈なインパクトを受ける作品の1つではないでしょうか。この絵の構図を横から見たアングルの《代々木附近》が以前、東京国立近代美術館に寄託されていました。私が見たのは1度きりで確かこの2点は同時に見られなかった記憶があります。その後、所有者に返却されあっという間に豊田市美術館に収蔵されました。また招いて是非2点を並べて展示していただきたいです。《道路と土手と塀》の斜めに伸びる謎の黒い2本の影の正体が《代々木附近》で分かるってのも面白いですね。

以前は4Fの奥の展示室まで行ったらエレベーターホールに引き返して3Fへ降りる順序でしたが、今回からは4F奥の階段で3Fへ降ります。

つづく

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アンソール展 損保ジャパン東郷青児美術館

損保ジャパン東郷青児美術館で開催されていた「アントワープ王立美術館所蔵 ジェームズ・アンソール-写実と幻想の系譜」が終了したばかりですが、記念にちょっと記事を。皆さんは行かれましたでしょうか。

アンソールの油彩40点、素描など紙作品500点以上を持つアントワープ王立美術館からアンソールの油彩29点と紙作品20点(会場により変更)も来ていたんですね。豊田市美術館からも特別出品で油彩は計30点。全体で106点なので半分が他作家(笑)改めて思い返すとグロテスクでカラフルなアンソールは7点だけ(豊田市美術館所蔵品1点含む)だったのですね。ちょっと少ない。アンソールの初期の暗い作風も大好きなので私は特に不満に思わなかったのですが、ほぼ最後の方の空間で骸骨などが出てきたのでやきもきされた方もいたかもしれませんね。

4月から豊田市美術館を皮切りに国内巡回しています。メナード美術館所蔵の傑作《仮面の中の自画像》1899年が特別出品されると聞いて浮き足立っていたのですが、豊田会場のみでした(泣)アンソール展の会場の中に《仮面の中の自画像》が展示がされているのがどうしても見たいという理由だけではるばる?豊田市まで行きました。愛知県全体でかなりの雨が降ってる時でびしょ濡れになって大変でしたが、本展の白眉《陰謀》と《仮面の中の自画像》が揃って展示されてる空間はそれはそれは贅沢なもので来てよかったと思ったものでした。

画中画が同じ展覧会に出ていたのも面白い展示でした。

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《青いショールの老婦人(画家の祖母)》1881年 油彩、カンヴァス 74×59cm

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《テア・アノンの肖像》1881年または1882年頃 油彩、カンヴァス 70.5×50.5cm


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《オステンドの昼食後(またはオステンドの午後)》1881年 油彩、カンヴァス 108×133cm

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《絵を描く骸骨》1896年頃 油彩、板

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わかりますでしょうか。東京展に何度か通って気づきました(笑)

今回はアンソールの画業全体をあれもこれもと細かく紹介する回顧展ではなく、アンソールと同時代の作家、過去の巨匠から受けた影響などとアンソール作品のみの展示では知りえなかったアンソールを見られてよかったと思います。

豊田、愛媛、東京と終わりましたが、まだまだ続きます。

アントワープ王立美術館所蔵 ジェームズ・アンソール -写実と幻想の系譜-

豊田市美術館 2012年4月14日(土)-6月17日(日)
愛媛県美術館 2012年6月30日(土)-8月26日(日)
損保ジャパン東郷青児美術館 2012年9月8日(土)-11月11日(日)
岩手県立美術館 2012年11月23日(金・祝) -2013年1月14日(月・祝)
岡山県立美術館 2013年2月8日(金)-3月17日(日)

ユトリロ展 ギャルリーためなが

銀座のギャルリーためながで10月26日から開催中の「ユトリロ展」を見てきました。

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初期から白の時代、その後の画風と34点もの作品が展示されていました。入場無料!

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《北駅、パリ》油彩 54×72.7cm

ユトリロといえばやはり白の時代ですが、初期の暗めで荒いタッチの作品も結構いい味で好きなんですよね。この作品は制作年が記載されていませんでしたが、早い時期の物でしょう。実物は青みがかっていて白の時代のユトリロとは全く違うのですが、とても魅力的な作品でした。どこか美術館に入らないかなー。

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《サン・リュスティック通り》1921年頃 油彩 61×50cm

サクレ・クール寺院のてっぺんが少し見えるユトリロらしい路地の絵です。ほとんど額にガラスが入っていませんし、柵もない空間でこれらが見られるなんて夢のよう。

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《モンマルトルのトレネ袋小路》1931年頃 油彩 123×175cm!!

ユトリロのこんな大きな作品今まで見たことあったかな??とにかく巨大です。えぇぇ!!てなりました。ほどほどの大きさのカンヴァスに向かうユトリロって想像できますけどこんな大作にも挑んでたんですね。これより大きな作品も手掛けていたのでしょうか?とにかく驚きの一点でした。

1977年、ユトリロ展を開催中のぎゃるりーためながの外観写真が掲げられていたのですが、入場待ちの列をなしているものでした。画廊に行列ができるなんて凄いですね。

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「ユトリロ展」10月26日(金)~12月15日(土) Galerie taménaga Tokyo 

午前10時~午後7時 日曜・祝日 休廊

銀座駅B9出口より徒歩5分です。銀座西六丁目交差点すぐの7丁目にあります。美術館の収蔵品ではなく全て画廊蔵+個人蔵の作品です。売却が決まった作品もありました。次いつ見られるか全くわからない作品のみで構成された展覧会です。この貴重な機会をお見逃しなく。


メトロポリタン美術館展へ行く。 東京都美術館 後編

1Fは第3、4、5、6章6-1が展示されています。

第3章 動物たち

3-1:ライオン、馬、その他の動物
3-2:鳥

メソポタミア、エジプト、ギリシャ、イラン、ドイツ、イタリアなど紀元前から20世紀まで様々な動物の登場です。

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《ライオンの頭の兜》イタリア 1460-1480年頃 鋼、銅、金、ガラス、顔料

ちょっと間抜けっぽくてかわいいですね。本当に被っていたのでしょうか。日本の兜もえっというのがありますから被っていたのでしょう。近くの上野の森美術館のツタンカーメンも黄金に輝くものがありましたが、こちらもキンキラ輝いていてお宝といった感じでした。毛の流れの表現も見事でした。

フランソワ・ポンポン《シロクマ》は見る人見る人「かわいい」の連呼で大人気でしたね。カタログの表紙はゴッホ《糸杉》とポンポン《シロクマ》の二種類あります。133点の中で選ばれるとは凄いですね。

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ルイス・コンフォート・ティファニー 制作:ティファニー・スタジオ《ハイビスカスとオウムの窓》 
1920-1920年頃 ファヴリール・ガラス、鉛 66×45.1cm

この作品には驚かされました。写真では全く魅力が伝わりません。平面のガラスのステンドグラスかと思っていたら思いっきりでこぼこ立体で白い花びらの部分も大きな白い石がボンと突き立ててあるかのよう。鳥の羽の青い部分も様々な色合いが美しいです。でこぼこの画面だから裏から当てられた光の透過が複雑になっていて独特な表情を出しています。ステンドグラスの彫刻のような作品でした。ティファニーの作品てあまり見たことがないのですが、島根県松江にあったルイス・C.ティファニー庭園美術館ではこのような作品が沢山見られたのでしょうか?いつか行ってみたいと思っていましたが撤退してしまいました。関東地方に用地を購入したみたいですが、いつかまた公開される日が来るのでしょうか。


第4章 草花と庭

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エミール・ガレ《セリ科の植物の飾り棚》1900年頃 カバノキ、紫壇の化粧板 101.6×30.5×121.9cm

家具まで登場しちゃいます。アール・ヌーヴォーの典型的な曲線と植物を組み合わせた飾り棚です。他の章同様、この章もたった15点で構成されていますが、膨大な作品の中から草花のモチーフの作品を選び出すのは大変だよなとしみじみ思いました。日本人作家の陶器も出ています。白山谷喜太郎の《桜の花の容器》です。日本人もメトロポリタン美術館に収蔵されてるんだと思うと嬉しくなりました。

勝手に不満3
草花だけでなく果実もあったらよかったなと思いました。印象派辺りだけ見てもマネ、モネ、ルノワールの庭を描いた絵やマネ、モネ、ルノワール、ファンタン=ラトゥール、セザンヌの花の絵や果実を描いた静物画の名品も所蔵しているのですが、登場せず。静物画は本展には合わないだろうと言われるかもしれませんが、そんなことはなくルドンの花瓶に生けた花の絵が出品されています。

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※参考図版

印象派の庭、花、果実を描いた作品たち。これらは一部でまだまだあるんですよ。マネの《苺》(下から2段目左側)が来てたら三菱一号館美術館の「シャルダン展」に出品されている《木いちごの籠》と比較できて面白かったですね。ゴッホは2点も名品が来てるのでまず借りられなかったでしょうね...。
 

第5章 カメラが捉えた自然

写真の誕生した頃から現代までの13点が展示されています。メトロポリタン美術館展に写真が組み込まれるのは初めてではないでしょうか。この章にも日本人作家、杉本博司の作品が展示されています。偉業ですね。

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ウジェーヌ・アジェ《池、ヴィル=ダヴレイ》1923-1925年 ガラス板ネガから鶏卵紙にプリント 17.4×22.5cm

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※参考図版:カミーユ・コロー《サン=ニコラ=レ=ザラスの川辺》1872年 山寺後藤美術館蔵

似っ似てる!(笑)


第6章 大地と空

6-1:森へ

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ジョン・コンスタブル《主教の庭から見たソールズベリー大聖堂》1825年頃 油彩、カンヴァス 87.9×111.8cm

イギリス絵画も展示されています。ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵作品のヴァリアント作品です。奥の建物は細かく描かれ写実ですが、手前の木々はささっと大胆に描かれています。描写のギャップが面白いです。木々の描写がこうだからいい絵なのかもしれませんね。木々の葉も細かく描かれてたらそれはそれでいいのでしょうけどこのギャップの画面が素晴らしい空間を作り出してるのかもしれません。注文主のソールズベリー司教、ジョン・フィッシャー夫妻が左下に小さく描かれています。


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フィンセント・ファン・ゴッホ《糸杉》1889年 油彩、カンヴァス 93.4×74cm

この作品、日本初公開なんですね。いくつか来日した糸杉を見たことがあるので何だか初めてではないようなそんな感じでした。久々にがっつりTHE ゴッホを見たような気持ちになりました。狂気の絵の具のうねうね厚塗り具合がここまで凄いゴッホって中々見られませんから。オークションに出たら簡単に100億超えちゃいますねこれは。ずっと見てると何が描いてあるのかわからなくなる絵ですね(笑)

エスカレーターで1Fから2Fへ移動します。

6-2:岩と山
6-3:空

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ギュスターヴ・クールベ《オルナンの風景》1850年代中頃 油彩、カンヴァス 73×92.1cm

クールベ好きなので突如この作品が現れて興奮しました。クールベの典型的な風景画です。クールベ特有のパレットナイフを使ったりとごつめの絵肌ですが、穏やかでのどかな風景に心静まります。

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バルテュス《夏》1935年 油彩、カンヴァス 60×73cm

下の《山》と共に2002年に来日した作品。何だかシュールな絵です。左に向いて寝てる女性の背景の崖が右に向いて寝てるようで面白いです。(緑の部分が髪で一番盛り上がった崖が肩みたい)クールベの影響を強く受けたバルテュスの作品がすぐ近くに展示してあったのは嬉しかったです。

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※参考図版 バルテュス《山》1936-1937年 油彩、カンヴァス 248.9 x 365.8cm

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※参考図版 クールベ《村の若い娘たち》1851-1852年 油彩、カンヴァス 194.9 x 261cm

クールベの最も有名な風景画の1点である《村の若い娘たち》と《山》の競演も見たかったですね。


第7章 水の世界

7-1:水の静物

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《カエルの分銅》 メソポタミア/バビロニア時代 紀元前2000-前1600年頃 閃緑岩または安山岩 21×12.1×12.4cm、重さ4700g

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《タコのあぶみ壷》ミュケナイ/後期ヘラディックⅢC期 紀元前1200-前1100年頃 テラコッタ 高さ26cm、直径21.5cm

これらが紀元前の物だなんて!現代のデザイナーが作ったかのようなかわいさです。本展ではポンポンの《シロクマ》に匹敵するかわいいキャラクターが点在しています。それを探すのも楽しいかもしれません。カエルなんて紀元前のブランクーシが作ったのでしょうか。

7-2:海と水流

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ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー《ヴェネツィア、サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂の前廊から望む》1835年頃 油彩、カンヴァス 91.4×122.2cm

この有名な作品も日本初公開です。本展で一番感動した作品です。美術書なんかでも目にする有名な作品です。ターナーが死ぬほど好きというわけではなく気に留めたことはなかったのですが、絵の前に立ってこれほど素晴らしい作品だったとはと本当に驚きました。言葉を無くす美しさでした。光の洪水という表現がありますけどまさにそれで絵自体が発光しているようでした。どうなってるのでしょうか(笑)本展の主役はゴッホではなくターナーだ!と思いましたね。1835年5月、ロンドンのロイヤルアカデミーで展示され、タイムズ紙が「ターナーの最も優れた作品」のひとつとして報じるなど、当時、絶賛されたというのも納得です。

来秋、東京都美術館でターナー展が開催されます。これはわくわくします。Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「マンチェスター大学 ウィットワース美術館所蔵 巨匠たちの英国水彩画展」にターナーが30点も展示されていましてちょっとした秋のターナー祭でした。


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クロード・モネ《マヌポルト(エトルタ)》1883年 油彩、カンヴァス 65.4×81.3cm

1972年に東京国立博物館、京都市美術館で開催されたメトロポリタン美術館展以来、実に30年ぶりの来日です!この作品も実物を見たいとずっと思っていた作品でした。類似作品中、最も出来のいい傑作です。他作品は描写が甘かったりして一見何が描かれてるのか??になる物もあるのですが、この作品はまぎれもなく波がぶつかる奇岩だと誰が見てもわかります。小さい図版で見てきたためか結構細かく描かれてるのかと思っていましたが、筆触がかなり大胆であることがわかりました。特に岩の描写がこんなに大胆だったとは。この描写でこの岩が描かれていたのかと感心しました。《エトルタ付近のマヌポルト》という作品も所蔵しています。

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※参考図版 左上から時計回り《エトルタ付近のマヌポルト》1886年/《マヌポルトの波》1886年 個人蔵/《マヌポルト、満潮》1885年 個人蔵/《下方から見たマヌポルト》1884年 ポートランド美術館蔵

これらもモネらしい作品ではありますが、今回の出品作の傑出ぶりがよくわかると思います。 

この最後の章では18世紀~20世紀までのイタリア、フランス、イギリス、アメリカの計10作品の絵画を展示しています。美術史の重要な運動という視点で見るとモーリス・ド・ヴラマンク《水面の陽光》のフォーヴィスムの作品が展覧会を締めます。(本当の最後の展示作品はウィンスロー・ホーマーの作品です)美術史に縛られることなく見る展示というのはわかっているのですが、印象派の横にフォーヴィスムのヴラマンクがあり、はいこれで終りというのは何だか唐突すぎて気持ち悪い終わり方だったなと思います。海と水流を主題にした20世紀美術作品で締めようとすると展示作品が限られるのはわかるのですが、第一部の導入部がすんなりと見られた分、最後が甘かったような気がしました。

本展のカタログの図版の色は文句なく綺麗でいい出来だと思います。ターナーの色も非常によく再現されてると思います。ミレーやモネ、セザンヌなど実物より綺麗なんじゃないかと思うほどよく撮れてます。


総評:詰め込み過ぎた(笑)古代から現代まで古今東西を様々な技法の作品133点では大変です(笑)1989年版は500年間のフランス美術を192点ですから。本展は時代や国は関係なく副題の「大地、海、空-4000年の美への旅」のもと集められているので美術史を楽しむのではなく「自然」をテーマに世界中の作品を楽しむ展覧会です。時代、国、技法の異なる作品を混ぜての展示はちょっと混乱を招きます。ほぼ風景画展になりがちだったので人物画や静物画からももっと取り入れていただけたら嬉しかったです。ここまでやるなら草花のパートに日本の古美術も入れてほしかったですね。

〇〇美術館展はいつものことですが、数点の傑作に色々な作品が付いてくるという印象は否めませんでした。代表作はチラシに掲載されているので出尽くしてると言っていい感じでそれは寂しいですね。もっとこれぞメトロポリタン美術館というのが見たかったです。これがメトロポリタン美術館ですかと聞かれて現地の職員は首を縦に振るとは思いません。バルビゾン派、印象派は特に人気があるのですから日本側は借用の際に慎重になるべきだと思いました。日本側に作品の選定ができたのか知りませんが。ルーヴル美術館やオルセー美術館では所蔵の時代や国が限られていて今回と同様な展示はできないのでそこはメトロポリタン美術館ならではだと思いました。こういう様々な部門の展示をする際は無理して主題ごとに分けるより各部門ごとに紹介するミニメトロポリタン美術館を再現という方が面白いかもしれません。

引っ越し展と言われて所蔵品をまとめて持ってくるスタイルは、様々な美術館から借用して構成する展覧会と全く違う物で悪く言われることも多いです。ただ、現地へ中々行けない人には凄く嬉しいプレゼントになりますし、開催の意義はあると思います。入場者も引っ越し展の方が凄いですしね。ただ全体の内容に満足したことはほとんどないです。〇〇美術館に所蔵されてるだけで名品でも何でもないのを収蔵庫から引っ張り出してきて抱き合わせするのは怒りを覚えます(笑)日本人の目は想像以上に肥えてますよ。世界中の美術館はこれくらいでいいだろうと出してる気がしますね。日本側もこんな内容じゃNGってつっぱねて欲しいですね。質を上げるなら点数を極限まで減らすなり努力してほしいです。その努力をして今の形なのかもしれませんけど。

今回のメトロポリタン美術館展は、憧れていた傑作、初めて知る名品に会えた点は大満足でした。

近くの国立西洋美術館の常設展でも16世紀から20世紀初頭まで本展と共通するテーマの作品を見つけることができます。「大地、海、空-400年の美への旅」(笑)

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国立西洋美術館コレクションより

国立西洋美術館も負けてないですね!レオン・オーギュスタン・レルミットの積み藁が描かれた《落穂拾い》もあります。現在展示されていませんがミレー、モネの積み藁を描いた紙作品も所蔵しています。この時期に展示されていたら嬉しかった...。

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※参考図版 ジャン=フランソワ・ミレー《藁塚》 鉛筆、紙 40.0×60.0cm 国立西洋美術館蔵

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※参考図版 クロード・モネ《積みわら》 木炭、紙 23.3×29.22cm 国立西洋美術館蔵

2013年1月4日(金)まで東京都美術館で開催中です。他美術館への巡回はありません。これを逃したら次は10年後?お見逃しなく!

メトロポリタン美術館展へ行く。 東京都美術館 前編

東京都美術館で開催中の「メトロポリタン美術館展 大地、海、空-4000年の美への旅」を見てきました。メトロポリタン美術館の所蔵品による展覧会は、2002年にBunkamuraザ・ミュージアムで開催された「ピカソとエコール・ド・パリ メトロポリタン美術館展」以来です。10年ぶりなのですね。ほとんどの展示部門の作品を集めた展示は1989年に横浜美術館で開催された「メトロポリタン美術館名品展―フランス美術500年-」以来、実に23年ぶり。ほとんどの展示部門を網羅したメトロポリタン美術館展を見たかったのでこの展覧会を知った昨年からとても楽しみにしていました。とっても素晴らしい展示と思うとともに不満大爆発がせめぎ合う感想になってしまいましたのでそこのところ予めご了承ください(笑)勝手に不満言っちゃうよのコーナーを作りました(笑)

今まで日本で開催されたことのあるメトロポリタン美術館展に出品された絵画たちをふり返ってみましょう。(2002年以外どれも見ていませんが(笑))

1972年 メトロポリタン美術館展 東京国立博物館、京都市美術館
各部門から選ばれた115点が並びました。絵画ではティントレット、ヴェラスケス、レンブラント、ヤン・ステーン、ピーテル・デ・ホーホ、フラゴナール、ゲインズバラ、ドラクロワ、コロー、クールベ、マネ、ドガ、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、セザンヌ、ゴーギャン、ボナールなどが並びました。この展覧会のカタログの表紙にはゴーギャン《二人のタヒチの女》が使われているのでこの作品がメインビジュアルだったのでしょうか。

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1977年 ニューヨーク・メトロポリタン美術館所蔵ロバート・レーマン・コレクション ルネッサンス装飾美術展 国立西洋美術館 素描13点、工芸102点、計115点
装飾美術に焦点を当てた展覧会です。今回来ているルノワールやゴーギャンもロバート・レーマン・コレクションです。


1986年 「メトロポリタン美術館特別出品 東西の風景画」 静岡県立美術館、「メトロポリタン美術館特別出品 西洋の風景展」 神戸市立博物館 ヨーロッパ、アメリカの風景画48点
17世紀から現代に至る西洋風景画展。静岡は東西の風景画、神戸は西洋の風景画というタイトルになっているので静岡はこれに+日本の風景画の展示があったのでしょうか???ロイスダール、フランチェスコ・グアルディ、コロー、モネ、ルノワール、ピサロ、シスレー、ドランなど

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1989年 メトロポリタン美術館名品展 ―フランス美術500年― 横浜美術館
横浜美術館の開館を記念し開催された展覧会です。同時期に開催されていた横浜博覧会には家族で行ったのですが、当時はまだ美術展というものに興味を持っておらず美術館があることすら知らなかったのですぐ近くまで行ったのに見事にスルーでございます。中世の聖母子像やタピスリー、ロココ絵画、18世紀の装飾美術、19世紀印象派、ポスト印象派を中心とする絵画、20世紀美術までⅠ.中世 Ⅱ.ルネサンスとバロック Ⅲ.ロココから新古典主義へ Ⅳ.19世紀 Ⅴ.20世紀と5つの章で構成。

何と出品点数192点!!ブーシェ、ヴィジェ・ルブラン、ドラクロワ、ジェリコー、アングル、カバネル、ミレー、コロー、クールベ、マネ、モネ、ドガ、ルノワール、ピサロ、シスレー、ルドン、スーラ、セザンヌ、ゴッホ、ロートレック、ボナール、ピカソ、マティス、ドラン、モディリアーニなど絵画56点、素描・版画35点、象牙作品、金属工芸、タピストリー、ガラスなど彫刻・工芸101点。

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絵画だけ見ても何でしょうこの充実度は...THE バブルでしょうか。横浜博覧会、横浜美術館の開館記念展ということで物凄く気合入っています。範囲が広いので1作家1点かと思ったらコロー、マネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホなど2点出品されている作家も多くコロー、セザンヌは人物と風景を、マネは人物と静物などと主題が異なる作品を選定していて本当に幅広くこれは見たかったと思わせる内容です。カタログの表紙にはルノワール《雛菊を持つ少女》が採用されています。(上から4段目、左から3番目)。その下のルノワール《洗濯女》は1982年からメトロポリタン美術館に寄託されていましたが、この年1989年に所蔵者に返却されてしまいました。1993年と2005年にサザビーズオークションに登場します。2005年のオークションでは落札予想価格2,000,000~3,000,000ポンド(3億8000万~5億7000万円)1ポンド=190円計算 のところ1,632,000ポンド=3億1000万円で落札されています。


2002年-2003年 メトロポリタン美術館展 ピカソとエコール・ド・パリ
京都市美術館、Bunkamuraザ・ミュージアム

“Painters in Paris: 1895-1950”(パリの画家たち:1895年-1950年)と題してメトロポリタン美術館で2000年3月から2001年1月にかけて開かれた展覧会をもとに、再構成された展覧会です。日本では初めて近代美術部門に焦点を当てた展覧会でした。ルドン、ドニ、ボナール、ピカソ、ルソー、ドラン、マティス、マルケ、ブラック、ジャック・ヴィヨン、ホアン・グリス、ジャン・メッツァンジェ、ユトリロ、シャガール、キリコ、ローランサン、モディリアーニ、レジェ、ヴァロットン、ドンゲン、パスキン、スーティン、ミロ、デュフィ、バルテュス、ルオー、ピカビア、レンピッカなど72点

バルテュス《山》(下から2段目左側)248.9 x 365.8cmが来日したのは衝撃でした。よく貸し出したなと。その1つ挟んだ隣りの《夏》が今回の展覧会に再来日しています。

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さて今回のメトロポリタン美術館展は今までのものを超えているのでしょうか???


東京都美術館のリニューアル記念第二弾の特別展。まだまだ新しい展示室に入ると新鮮で広い空間自体にわくわくします。

200万点の所蔵品の17学芸部門のうち12部門から「自然」をテーマに古代メソポタミア文明から現代まで絵画54点、写真13点、彫刻、陶器、ガラス、タピストリーなど133点が選び出されています。今までのメトロポリタン美術館展は時代に沿った流れあるいは特定の時代を切り取っての紹介だったのに対し、今回は「自然」という広い範囲のテーマのもと集められていて時代順の展示ではありません。展示は7章に分かれています。

第1章 理想化された自然

1-1:アルカディア-古典的な風景

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クロード・ロラン《日の出》1646-1647年 油彩、カンヴァス 102.9×134cm

入ってまず最初にクロード・ロランの作品が迎えてくれます。いきなり1点目から絵の前から動きたくない名品が登場です。第1章1-1はこの作品が全て説明してくれてると言っていいくらいです。理想郷(アルカディア)とはまさにこの絵のこと。木の陰で薄暗い水辺と奥の山、丘の霞み具合、空の色、雲の表情など本当美しい作品でした。

勝手に不満1
これだけの規模なのに本展にはコローの作品は出品されていません。メトロポリタン美術館には初期から晩年まで40点ほどの油彩があります。第1章は理想郷ということで実在の場所を戸外で描いたコロー作品は違うのかなとも思いましたが、それまでの芸術家同様アトリエで制作もしましたし、実在の場所がモデルでも理想化して描いてあるのは晩年の抒情的と言われる銀灰色の画面からわかります。この章になかったとしてもどの章にも登場しなかったのはとても残念でした。

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メトロポリタン美術館 コローコレクションより

1-2:擬人化された自然

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レンブラント・ファン・レイン《フローラ》1654年頃 油彩、カンヴァス 100×91.8cm

女神フローラ。1642年に亡くなった妻サスキアの顔を理想化して描いています。光と闇のコントラストが激しいレンブラントではなく全体に光が当たり穏やかでとても美しい絵です。綺麗な顔、肌も魅力満点ですが、衣装のダボダボ感の筆跡がまさにレンブラントの布って感じでよかったです。絵の前から立ち去り難い作品でした。額も豪華で作品を引き立てていていい。

1998年に伊勢丹美術館で開催された「レンブラントと巨匠たちの時代展 ドイツ・カッセル美術館秘蔵の名画コレクション」に出品されていた《横顔のサスキア》を思い出しました。画風が全く異なります。

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※参考図版 レンブラント・ファン・レイン《横顔のサスキア》1633~1642年頃 カッセル美術館蔵

国立新美術館で開催中の「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝」に初期の傑作《キューピッドとしゃぼん玉》1634年が出品されているので初期と晩年を見比べることができます。ついこの間まで上野で開催されていた「マウリッツハイス美術館展」7点(1点は工房作)と「ベルリン国立美術館展」2点(1点は帰属作品)とレンブラントが沢山見れました。昨年は国立西洋美術館で「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」が開催されましたしレンブラントって日本で結構見られる機会が多くて嬉しいですね。できれば一気にどかんと見てみたい。


第2章 自然のなかの人々

2-1:聖人、英雄、自然のなかの人々

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ピエール=オーギュスト・ルノワール《浜辺の人物》1890年 油彩、カンヴァス 52.7×64.1cm

ルノワールのこの作品は本展で初めて知る作品でした。この作品の色彩の美しさは異常(笑)光を透かしている宝石を見るような感動を覚えました。水色の透明感が本当に素晴らしく画像も綺麗ですが、実物の色彩はまったく違います。本当綺麗だった。

勝手に不満2
実はこの絵をチラシで見た時、なんでこのチョイスなのかと憤慨しました。実物を見て感動しておいて(笑)ゴッホやミレー、モネの出品作と比べると明らかに第一級の作品ではないのです。1点か2点しか持ってこれないのにこの作品をチョイスするとは...と。もちろん一級じゃなければ作品としてだめなんてことはありませんけどバランスがおかしい。コローに続き、ピサロやシスレー、ドガなどの印象派作品は本展に含まれず、純粋な印象派はモネ1点、ルノワール2点だけです。(アメリカ印象派が1点あったかな)ポスト印象派のセザンヌ1点、ゴーギャン1点、ゴッホ2点、新印象派のアンリ・エドモン・クロス1点と出品がありますけど、恐らく多くの人が期待するこの印象派の部分がこれだけとは寂しすぎます。観客が何が見たいかわからないのでしょうか。もちろん他にも見所はありますが、印象派の中でも作家が限定されているのならなおさら作品の選定は無理してでも頑張ってもらいたかったです。ちなみにもう一点来ている《ヴェルサイユ》という作品も...。ルノワールなのに立ち止まらずさーと通り過ぎる人の多いこと。実はルノワールが芸術家の中で一番好きなので凄く辛口になっています。傑作があってこれらの作品が一緒に貸し出されるのはいいのですが、これだけで貸し出すのはどうなのだろうかと思いました。海の作品なら《海辺にて》を選定してもらいたかったです。当時のレジャーや治療法でもあった海水浴、自然と人間の関わりもわかるルノワールの傑作です。《浜辺の人物》と一緒にあったらよりいい展示でしたけどね。本展の性質状、絵画は風景画がメインになり、人物がいても小さく描かれた物が多いです。つまりかなり偏っているのです。下記のような人物メインのルノワール作品もあってよかったと思います。ルノワール1点でも随分とバランスがよくなると思います。

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ルノワール 参考図版
左《牧場にて》1888-92年 油彩、カンヴァス 81.3 x 65.4 cm
中央《海辺にて》1883年 油彩、カンヴァス 92.1 x 72.4 cm
右《雛菊を持つ少女》1889年 油彩、カンヴァス 65.1 x 54 cm

2-2:狩人、農民、羊飼い

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《音楽を奏でる男女の羊飼いのタペストリー》南ネーデルラント 1500-1530年頃
つづれ織り、羊毛、絹 234.9×292.1cm

こんな立派なタピストリーも来てるんですね。もっと大きなタピストリーも登場しますが、そちらは19世紀の作品でこちらはほとんど500年前!よく残ってるよなあと感心してしまいます。虫食いとか大丈夫だったのでしょうか。大事に大事に今日まで伝えられてきたのですね。来年、国立新美術館で「フランス国立クリュニー中世美術館所蔵 貴婦人と一角獣展」でタピストリー6面が来るとのことで勝手に序章、前夜祭?みたいな気分になりました。クリニューのも1500年頃とされているのでちょうど同じ時期なんですね。次行った時またじっくり見てきたいと思います。4章に一角獣のテーブルカーペットが出てくるのでそこでもわくわくしてしまいました。タピスリー、タペストリー、タピストリーどれが一番使われているのでしょうか。迷いつつ書いています。タペストリーが一般的なのでしょうか。

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ジャン・フランソワ・ミレー《麦穂の山:秋》1874年頃 油彩、カンヴァス 85.1×110.2cm

あ~この作品はずっと実物が見たかったものです。ついに日本にやって来たのです。ゴッホの《糸杉》が日本初公開と騒がれてますが、こちらも日本初公開です。この画像は綺麗すぎます。実物はもっとくすんでいます(汗)
それでも素晴らしい作品です。雄大な大地に大きな麦穂の山。そしてその前にいる人間のサイズ。自然を前にした人間のちっぽけさに気づかされます。羊たちものびのびいいですね。何か泣けてきます。何かに悩んでもこの絵を見たら自然のでかさに比べたらどうでもいい小さなことだなと思わせてくれそうです。大地をずっしり感じられる大き目のサイズに描かれてるのもいいです。この展覧会で最も長く鑑賞した作品です。

この作品はミレーが3度描いた最後の『四季』連作の1点です。

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参考図版
左:《春》1868-73年 油彩、カンヴァス 86.0×111.0cm オルセー美術館蔵
中央:《夏、蕎麦の収穫》1868-74年 油彩、カンヴァス 85.5×111.1cm ボストン美術館蔵
右:《冬、薪を運ぶ女》(未完)1868-74年 油彩、カンヴァス 78.7×97.8cm ウェールズ国立美術館

1991年にBunkamuraザ・ミュージアムで開催された『ミレー展』で《春》と《夏、蕎麦の収穫》が一緒に展示されましたが、この4点が揃うことってきっと無理なんでしょうね...。

地下1Fの展示室からエスカレーターで1Fの展示室へ上がります。

後編へ続く

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