美術展命の男のブログ

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さようなら 村内美術館

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ギュスターヴ・クールベ 《ボート遊び》(ポドスカーフに乗る女) 1865年
油彩、カンヴァス 173.5×210.0cm 村内美術館蔵

フランスで海水浴が庶民の間で広まるのは19世紀半ばのこと。ノルマンディ海岸、ドーヴィルやトゥルーヴィルはパリジャンの夏の高級リゾートとして19世紀前半から賑わっていました。このモデルはトゥルーヴィルの話題をさらった女性サーファーとのこと。こんな巨大なクールベ作品は日本に他になく描かれた対象も他に見ない大変珍しい時代を写した風俗画の作品です。このトゥルーヴィルの浜辺で日光浴をする人々を描いたウジェーヌ・ブーダンの評価の高い主題の作品も所蔵しています。(国立西洋美術館やブリヂストン美術館にも同主題の作品があります。)オルセー美術館やメトロポリタン美術館など大美術館が欲しがるであろうミュージアムピースです。

村内美術館のホームページに信じたくないニュースがアップされました。

休館、展示リニューアルのお知らせ

1982年の開館より常設展示してまいりました「ミレー、コロー、クールベとバルビゾン派」展は、2013年6月25日(火)をもちまして、展示を終了させていただくこととなりました。
長い間ご愛顧賜り、誠にありがとうございました。


えぇぇぇー!!!!!本当にびっくり&悲しいです。

東京富士美術館と村内美術館 八王子 後編

さようなら クールベ《フラジェの樫の木》 村内美術館

村内美術館の記事は昨年の9月と今年の3月に書きましたが、こんなことになろうとは...作品の売却やいろんな人が出入りしてるという情報を聞いてまさかと思っていたのですがこんなに早くその時が来るとは...

日本で見られる西洋絵画とか東京の美術館などの本が刊行されると必ずミレーやコローが掲載される美術館であり、様々な展覧会に貸し出される重要作を所蔵しているわけでバルビゾン派絵画の常設が終了ということはとっても大きな痛手です。

私が村内美術館を初めて訪ねたのは1994年のことです。東京富士美術館で開催されていた「大ナポレオン展 戴冠式190年記念—英雄の生涯と軌跡」とセットで見に行きました。

今でこそ行き慣れていますが、始めて降りたJR八王子駅からバスに揺られるというのは当時の私にとって秘境の地に行くようなものでした(爆)。東京富士美術館行きのバスと間違えて東京富士美術館前にある大学の卒業式出席者用のバスに乗ってしまい美術館を通り越して大学構内まで乗って行ってしまいました(笑)。東京富士美術館のナポレオン展も圧倒されましたが、村内美術館のバルビゾン派、印象派作品の質の高さにもただただ感動でした。美術館巡りをして日も浅く、デパート美術館と国立西洋美術館やブリヂストン美術館など都心の美術館に通うことが多かったので郊外にこんなレベルの高い美術館があるとは本当に驚きでした。ミュージアムショップで1800円ほどのドガ《入浴後の朝食》の複製画を買って帰りました。非常に素晴らしい作品でしたが、2000年前後にはコレクションから離れ、現在はオランダのトリトン財団蔵となっています。

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エドガー・ドガ 《入浴後の朝食》 1894年頃 パステル・紙 トリトン財団・オランダ

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エドガー・ドガ 《入浴後の朝食》 1894年頃 パステル・紙 テルアビブ美術館・イスラエル

2009年から2010年かけてBunkamuraザ・ミュージアム、北九州市立美術館 分館、ひろしま美術館で開催された「ロートレック・コネクション展」で久々に来日を果たしました。似た構図の作品がテルアビブ美術館に収蔵されています。

まだ寒い時期だったので村内家具から外へ出ると真っ暗でバス停もよくわからず不安な帰路でした。後に無料送迎バスがあるのを知ってずっこけました。

当時、美術館は村内家具の本館4階にありましたが現在そこはイベントホールになり、1995年に本館北2階の上階に独立した空間として開館しました。広く洗練された展示室になり、テーブルや椅子などの家具も配置されこれぞ家具屋の美術館といった感じに生まれ変わりました。夕方に行くとほぼ毎回貸切状態で見られ、クラシックが微かに聞こえる絵画に埋め尽くされた邸宅の中を歩くような空間は贅沢の極みでした。

気になるのは作品の行方。ミレー《鏡の前のアントワネット・エーベル》やコロー《ヴィル・ダヴレーのカバスユ邸》などは一体どこへ行ってしまうのでしょうか。常設はやめるものの最後の最後まで残しておくのでしょうか。やはり散逸?日本のどこかの美術館に入ってくれることを祈るばかりです。収集対象が全て同じというわけではありませんが、ブリヂストン美術館、ひろしま美術館、大原美術館、吉野石膏コレクションが消滅するような勢いのニュースです。

31年間お疲れ様でした。

ニュースには続きがありまして

村内美術館は展示を一新し、7月11日(木)にリニューアルオープンいたします。家具屋ならではの美術館として世界の家具を展示、また日本や海外の新進気鋭作家の作品を展示する予定です。日本の現代画家とヨーロッパの近現代画家の共演をお楽しみいただけます。

7月11日(木):リニューアルオープン
           「世界の名作家具 デザイン展」「東西名画展」


とあります。閉館ではありません。ショッキングなタイトルを書いてすみません。なんだ無くなるんじゃないんだぁと安心しましたが、現代作家がメインになるみたいなので今までの村内美術館ではなくなるのは間違いないようです...。やっぱりさようならか。リニューアルというか全く違う物に生まれ変わる予感が。ヨーロッパの近現代画家とあるので近代西洋絵画も残る?東西名画展とあるのでいったいどの作品が残るのかリニューアルオープンしてみないと分かりません。楽しみのような怖いような。行ってみてミレーもコローもクールベもルノワールもあるじゃん。あははははとなることに是非期待したいです。

コロー、クールベ、ロダンの作品が※登録美術品制度に登録されていたのでどうなったのかと思ったのですが、登録終了となっていました。

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ギュスターヴ・クールベ 《静物》 1871-72年 油彩、カンヴァス 38.5×56.0cm 村内美術館蔵

こちらは、登録美術品制度に登録されていたクールベの《静物》。
クールベは1871年のパリ・コミューンでヴァンドーム広場のナポレオン記念柱引き倒しを指揮したとして逮捕、サント・ペラジー刑務所へ送られます。刑務所に差し入れられた画材で花やりんごやなし、ざくろなどの果実の絵を30点ほどが描きました。国立西洋美術館にも1871年頃作の4つのりんごを描いた松方コレクションの作品があります。この作品は刑務所内での制作ではなく病院に移されてからの1872年春頃の制作である可能性が強いとのこと。クールベの静物画を日本で見られる機会は非常に少なくこのような名品は他にないですね。画像はかなり明るく修正されていますが、実物の背景はとても暗く、りんごやざくろの赤と白い布と明暗がくっきりしています。

※登録美術品制度とは、重要文化財や国宝、その他、世界的に優れた美術品を国が登録し、登録した美術品を美術館において公開するものです。また、登録美術品は相続が発生した場合、他の美術品とは異なり、国債や不動産などと同じ順位で物納することが可能となります。有名な所では埼玉県立近代美術館に寄託されている丸沼芸術の森蔵のクロード・モネ《ルエルの眺め》などが登録されています。

美術館で適切な管理の下、展示公開されるので一般の所有者も安心して預けられるし税制上でもメリットがありますが、村内美術館の場合は登録して自館で展示していましたのでよくメリットがわかりませんでした。全作品登録というわけでもないですし。この制度を盛り上げようと参加していたのかもしれませんね。この制度が始まって15年経つのに残念ながら登録数は現在41件のようで既に半数が登録を終了しています。もっと登録数が増えれば美術館で個人蔵の作品が展示されますし、物納されれば国立の美術館に出現するかもしれません。でも大抵の人は作品を好んで手元に置いておくわけでちょっとよくわからない制度ですね。管理も大変だし展示スペースもないから預かっておいてとかいう人には好都合かと思いますけど。

バルビゾン派、印象派、エコール・ド・パリ、フランス現代絵画がずらりと並ぶ現在の村内美術館が見られるのはあと一か月です!まだ行かれたことのない方は是非足を運んでみてください。私ももう一度見に行きたいと思います。7月11日のリニューアルオープンにも期待したいです。

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