美術展命の男のブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

丸沼芸術の森所蔵 フランス美術の魅力 朝霞市博物館

monet view at rouelles
クロード・モネ 《ルエルの眺め》 1858年 油彩、カンヴァス 46×65cm 11月3日までの展示

埼玉県の朝霞市博物館で開催中の第30回企画展「丸沼芸術の森所蔵品によるフランス美術の魅力―19世紀の自然描写からエコール・ド・パリまで―」を見てきました。

朝霞市上内間木にある「丸沼芸術の森」の設立30周年、その経営母体の丸沼倉庫45周年、朝霞市博物館の第30回企画展を記念しての開催だそうです。

・印象派から20世紀の初頭の多様な表現
・然への憧れ
・エコール・ド・パリの輝き
・2人の巨匠の版画集 ルオー《ミセレーレ》とシャガール《聖書》

と4章に分けて、フランス近代美術の作品が展示されています。

モネ、ブーダンの油彩画(この2点は11月3日までの展示)、コロー、ドービニーの油彩画、ミレーの木炭画(この3点は11月5日からの展示)、ドガ(木炭画)、ピサロ(水彩画)、モロー(エッチング)、ドニ(鉛筆画2点)、マルケ、ヴラマンク、ルオーの油彩画、キスリング(油彩画、鉛筆画2点)、パスキン(パステル画、鉛筆画、インク画)、ブールデル(彫刻2点)、ピカソ、藤田嗣治、シャガール(4点)、ルオー(4点)の版画、全31点の出品です。

marunuma boudin
ウジェーヌ・ブーダン 《ノルマンディーの風景》 1854~57年 油彩、板 34.5×57.5cm
11月3日までの展示

モネの《ルエルの眺め》と構図が似ている面白い作品。国内にあるブーダンの作品の中でも特に早い時期のもので貴重な作品だと思います。

marunuma millet
ジャン=フランソワ・ミレー 《草刈をする人々》 1852年 木炭・インク、紙 16.5×23cm
11月5日からの展示

marunuma corot
カミーユ・コロー 《ヴィル・ダヴレーの湖畔の朝霧》 1868~70年頃 油彩、カンヴァス 40×56cm 11月5日からの展示

典型的な銀灰色に霞むコローらしい風景画です。日本にあるコロー作品を集めて展覧会が開かれないかなと常日頃思っています。2008年に国立西洋美術館で開催された「コロー 光と追憶の変奏曲」のような初期から晩年まで代表作を散りばめたものは海外から借用しないと成り立ちませんけど、風景画と人物画に焦点を当てたものなら日本にも名品が結構あると思うんですよね。

コローは、贋作が多く、さらにとても面倒見のいい人だったので他人が描いた絵に売れるようサインをしてあげたものもあるとか。コローは2000点の油彩画を描き、そのうち5000点はアメリカにあるとか言われていますね。日本にも...?

初めて存在を知る作品、知ってはいたけれど初めてお目にかかる作品も多々ありました。キスリングの鉛筆画はほとんど見る機会がないですから貴重でした。パスキンの《黒い上着を着た少女》はパステル画なのですが、油彩のあの雰囲気がそのまま表現されていてパステル画と言われてもいつもの油彩画のように見える美しい作品でした。ヴラマンクの《青い花》は、花瓶に活けられた花が激しいタッチの青と白の絵の具で描かれた作品。素敵な作品で長いこと見ていました。

ドニは《果実を運ぶ女たち》と《聖杯》の2点。 前者は、鉛筆、水彩、紙 1892年頃で後者は鉛筆、チョーク、紙 1912年頃

はっきりと作風の違う作品でした。《果実を運ぶ女たち》はナビ派のもつ独特な雰囲気で白昼夢を感じさせるような不思議な絵で、《聖杯》は現実味のある女性を描いた写実的な作品でした。

丸沼芸術の森という名称を初めて認識したのは、現在確認されているモネの最初期の油彩画《ルエルの眺め》を所蔵している所という情報でした。モネの《ルエルの眺め》を初めて見たのは、1994年にブリヂストン美術館で開催された「モネ展」でした。その時はまだ丸沼芸術の森所蔵ではなかったようです。ほどなくして丸沼芸術の森所蔵となり、今日まで様々な展覧会に貸し出され私たちの目を楽しませてくれています。

丸沼芸術の森という名称を知ってはいたものの、どういう所か長らく気にかけたことがありませんでした。公園かなくらいにしか思っていませんでした。芸術家のアトリエ村であり、ワイエスやベン・シャーンなどの豊富なコレクションを持っていることを知るのはそれからずっと後の事でした。

丸沼芸術の森所蔵のドラクロワとモネの作品が、国の登録美術品制度に登録され、2001年から茨城県近代美術館の常設展で公開されました。この制度で公立の美術館を転々とするのかなと思っていたら、しばらくして2006年に埼玉県立近代美術館に寄託され、それ以降主にそこで展示されています。モネ、ドラクロワ、ブーダンが現在寄託されているようです。

丸沼芸術の森の設立者である、須崎勝茂氏の講演会が開かれたのでお話を聞いてきました。

丸沼芸術の森のアトリエ村は、設立者の須崎勝茂氏が陶芸を始めたところ、若い芸術家たちがアトリエがないことに困っていることを知り、場所を提供したのが始まりだそうです。そして本物の作品を見て学んでほしいという思いで作品の収集もされてきたとのことです。

丸沼芸術の森は238点のアンドリュー・ワイエスの素描や水彩のコレクションを所蔵しています。

ワシントン・ナショナル・ギャラリーにアンドリュー・ワイエスの代表作「海からの風」が寄贈されたのを機に2014年、ワイエス展が開催されました。丸沼芸術の森コレクションから《海からの風》の習作など10点を貸し出したそうです。

招待状は来たものの、飛行機のチケットが来ないのでぎりぎりまで待ったけどそのようなものは元々用意されていなかったそうです(!)
貸出料の話もなかったとおっしゃっていました(汗)。お金持ちはとことん社会奉仕してくださいということなのでしょうか。
アメリカ国内の富豪に言うならわかりますが、遠い海外から借りてこの仕打ち(笑)。
美術品を所有するお金持ちも大変だなあと思いました。逆に日本が借りる場合はどうなんでしょうかね。気になります。

今や世界で活躍する村上隆もかつては丸沼芸術の森で制作していました。そんなお話もされていました。

展示会で作品を購入してくださいと言われ、理解できない作品だったようで迷っていたら村上隆から2つの約束を言われたそうです。1つ目は東京藝術大学で当時、日本画にはまだいなかった日本画博士課程になる。見事実現させました。
2つ目は世界の3本の指に入るアーティストになる。とのことでした。その時、頭がおかしいんじゃないかと思われたそうですが、今日の活躍を見ると感動してしまいます。

佐藤忠良の作品を所蔵しているのは知っていましたが、およそ100点ものコレクションを所蔵していることは今回初めて知りました。佐藤忠良の代表作《帽子・夏》の取得時のエピソードが興味深かったです。ある美術商にこの作品を譲って欲しかったそうですが、美術商はブリヂストン美術館に納入したかったそうです。理由は佐藤忠良がブリヂストン美術館で見た佐伯祐三の作品に感動したことがあって、是非そこに彼の代表作を展示させてあげたいとのことでした。2番手でいいからと須崎氏は待ったそうです。結果ブリヂストン美術館は購入を見送ることになり、須崎氏が購入することができたそうです。ブリヂストン美術館がだめだったら資生堂に納入予定だったとのこと。

市から公共の施設に彫刻の寄贈を頼まれたのに、贈ろうとした裸婦像はNGとか座ってる作品じゃなくて立像の方がいいなど色々注文つけられてやれやれといったお話も面白かったです。

定員50名でしたが、それを上回るほぼ満席で大盛況でした。地元の方たちと思われる方が押し寄せ真剣に話を聞かれていました。地元で愛されてるのがよく伝わってくる方でした。笑いが絶えない講演会でとても楽しい1時間でした。

朝霞市博物館と丸沼芸術の森は約3kmほどと近い距離にあります。時々、丸沼芸術の森コレクションの展覧会を開いてくれます。無料で見られるのも嬉しいですね。丸沼芸術の森は常設展示がないので今回のように西洋絵画をまとめて見られる機会は珍しいと思います。お近くの方もそうでない方も是非この貴重な機会をお見逃しなく。朝霞を考古・歴史・民俗・美術工芸の4分野で紹介する常設展示もご覧いただけます。エントランス、通路からガラス越しに見える屋外水車と池も見所の施設です。

asakashi museum

asakashi museumb


第30回企画展「丸沼芸術の森所蔵品によるフランス美術の魅力―19世紀の自然描写からエコール・ド・パリまで―」

会場 朝霞市博物館
会期 10月10日(土)~11月23日(月・祝)
開館時間 午前9時~午後5時 
入館料 無料
会期中の休館日 月曜日、祝日の翌日
交通 東武東上線朝霞台駅・JR武蔵野線北朝霞駅から徒歩15分

朝霞市博物館
〒351-0007 埼玉県朝霞市岡2-7-22

スポンサーサイト

日動名品展 ルノワール、シャガール、キスリング、ユトリロ

銀座5丁目にあります、日動画廊で10月14日(水)から27日(火)まで「日動名品展」が開催されています。

kasama exb renoir
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《褐色の髪の浴婦》 1909年 油彩、カンヴァス 92.0×73.0cm

2014年に笠間の日動美術館で見た
画家と画商の物語 笠間日動美術館 茨城県でフランスを巡る ① 

その時の記事でご紹介したルノワールの《褐色の髪の浴婦》が東京で公開されています。

nichido chagall
マルク・シャガール 《黄色い空に浮かぶ長靴》 65×54㎝

nichido kisling
モイズ・キスリング 《バラとミモザ》 50×39㎝

nichido van dongen
キース・ヴァン・ドンゲン 《ヴァンドーム広場》 53×65㎝

ルノワール、シャガール、キスリング、ローランサン、ユトリロ、ヴラマンク、ドンゲン、岸田劉生、梅原龍三郎、林武など東西の近代絵画をお楽しみいただけます。

営業時間は、平日10時〜19時、土・祝11時〜18時、会期中無休

もちろん入場無料です。

日動画廊本店 東京都中央区銀座5-3-16

三菱一号館美術館で開催中の「プラド美術館展」に、ルーベンス作の非常に丁寧な質の高い作品が展示されています。

prado captive beauty rubens
ピーテル・パウル・ルーベンス 《聖人たちに囲まれた聖家族》 1630年頃 油彩、板 79.5×64cm

ルノワールの《褐色の髪の浴婦》を見ると、ルーベンスの真珠のように輝く肌の表現に憧れ影響を受けたのがよくわかります。

三菱一号館美術館から銀座5丁目の日動画廊までは800mくらいの距離です。徒歩10分前後で移動できます。ルーベンスとルノワールの肌の表現の見比べのハシゴはいかがでしょうか。

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。