美術展命の男のブログ

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ルノワール礼讃 ポーラ美術館+秘蔵ルノワール オークションへ

homage to renoir

ポーラ美術館で開催されていた「ルノワール礼讃 ルノワールと20世紀の画家たち」を見てきました。

ポーラ美術館では初めてのルノワールをテーマにした展覧会です。ルノワールの作品だけではなく、ルノワールに影響を受けたフランスの画家や日本の画家、それからエコール・ド・パリの作品で構成されていました。

ポーラ美術館はルノワールの油彩画を15点、彫刻1点、書簡1点を所蔵しています。国立西洋美術館で開催されていた「モネ 風景を見る眼」に貸し出した2点の油彩を除き全てが並んでいました。

国内でルノワール展は何度も開催されていますが、ルノワールとルノワールに影響を受けた画家の展示というのは少ないかと思います。記憶にあるのは1995年にブリヂストン美術館で特集展示された「ルノワールと日本の画家たち」です。第二次世界大戦以前に日本にもたらされたルノワール作品8点、それに影響を受けた梅原龍三郎、山下新太郎、安井曾太郎、中村彝など16点、計24点が並びました。近年では2009年に上原近代美術館で開催された「梅原龍三郎とルノワール―出会いから100年―」くらいでしょうか。

今回のポーラ美術館のルノワール礼讃は所蔵品からのみの展示ですが、52点と比較的多くルノワール以降の西洋画家と日本の画家が一緒に紹介される点でも先の展示とはまた違った物になっています。

今回の展示の原型は2013年に台湾・故宮博物院で開催された「ルノワールと20世紀の画家たち展」だそうです。東京富士美術館、MOA美術館、茨城県近代美術館、埼玉県立近代美術館、北九州市立美術館、ボストン美術館、ワシントンナショナルギャラリー、ポンピドーセンター、リモージュ美術館などからの出品があったルノワール展ですが、ポーラ美術館はルノワール作品16点を含む53点もの作品を貸し出しました。「ルノワール礼讃」は貸し出した物を中心に再構成した展示になります。

学芸員の方の話によりますとルノワールと言えば、画業の前半の印象派の時代の画家という側面が大きく、後期の作品は注目されていなかった。とのことなのですが、研究者の立場ならではの考え方なのでしょうか。むしろ日本にはルノワールの早い時期の作品は少なく、後期の作品の方が圧倒的に多く所蔵され、我々日本人はそれらを見る機会の方が多いのです。ルノワールといえば豊満な肉体の裸婦、薄く溶いた絵の具を何層にも重ねて描くグラッシという技法による艶と深みのある赤やオレンジ、黄が多用された作品というイメージも強くあります。が、どうやら世界的に見ると2009年にパリ・グランパレ、フィラデルフィア美術館を巡回した「20世紀のルノワール」という展覧会が開催され話題になったくらいなのでやはり後期のルノワール作品は研究が遅れているようです。

本展は「Ⅰ.花」、「Ⅱ.女性」、「Ⅲ.裸婦」、「Ⅳ.南フランスと地中海」と4つの章で構成されていました。

renoir coiffure
ピエール・オーギュスト・ルノワール 《髪かざり》 1888年 油彩、カンヴァス 81.4x57.3cm

1880年代前半に印象派の技法に疑問を抱き、1881年のイタリア旅行でラファエロなどの古典に出会い、アングル様式と言われる輪郭を明確にしっかり描く作品を描くようになります。この作品も輪郭がぼやけることなくしっかりしています。フィラデルフィア美術館蔵の《大水浴》 1884-87年のフレスコ画のような乾いた感じはなく、鮮やかによく塗り込められた湿潤な画面です。1887年は、ルノワールが印象主義の果てまで到達してしまったと述べた年です。1890年代に入ると暖かく柔らかい表現へ戻りますが、1888年のこの作品はその狭間で描かれた貴重な作品です。他の所蔵品のルノワール作品と見比べると明らかな違いを感じられました。形態も色彩もかっちりきっちりと言ったところでしょうか。

この作品は1997年にサザビーズオークション、ニューヨークのセールに登場した絵です。
予想落札価格 $8,000,000 — 10,000,000 (10億1600万~12億7000万円)
落札価格 $8,802,500(11億1791万円) ※1$=127円換算

10億円を超えるルノワールは頻繁に出るイメージはなく、図版だけで見るこの美しい絵に魅了されていました。2001年にブリヂストン美術館で開催されたルノワール展のカタログに白黒の参考図が個人蔵、東京の表記で掲載され国内にあることに驚いたのですが、2002年に開館したポーラ美術館でお披露目されたのにはもっと驚きました。化粧品会社の美術館のコレクションとして相応しい作品を入手したなと感心しました。

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※参考画像
ピエール・オーギュスト・ルノワール 《髪かざり》 1888年頃 パステル、紙 81.2x60.0cm
ストックホルム、ハギン美術館蔵

同構図のパステルによる作品も残しています。

《髪かざり》と同じ空間にエコール・ド・パリのキスリング、キース・ヴァン・ドンゲン、ローランサンなどの作品が並んでいました。エコール・ド・パリの画家たちが活動していた頃にはルノワールは南仏のニースに近いカーニュ=シュル=メールに住んでいたのでパリにはいなかったのですが、サロン・ドートンヌでの展示やパリの画廊での個展で作品が披露され話題になっていたのでそれを目にする機会はあったはずだと言うことです。彼らのほとんどはルノワールに直接会ったことはなかったそうですが、モディリアーニは直接訪ねて行ったことがあるとか。

laurencin actresses
マリー・ローランサン 《女優たち》 1927年頃 油彩、カンヴァス

ローランサンの華やかな女性像は、甘美で優雅な18世紀ロココを継承するルノワールの系譜に連なるのではないかなと思いました。 

ピカソはルノワールを敬愛した画家の1人です。ピカソはルノワールに会ったことがなかったとのことですが、ルノワールの没後、ルノワールの肖像を鉛筆で写実的に描いた作品を残しています。またルノワールと同じく古典主義に傾倒した時期もあります。

ピカソは丸みのある女性像や静物を描いていますが、ピカソ自身が所有し、現在パリのピカソ美術館に所蔵されているルノワールの《風景の中の座る裸婦》から影響を受けた同じポーズの丸みを帯びた裸婦の作品を残しています。

renoir nude
※参考画像
ピエール・オーギュスト・ルノワール 《風景の中の座る裸婦》 1895年 油彩、カンヴァス 116x89cm パリ、ピカソ美術館蔵

picasso still life
パブロ・ピカソ 《静物》 1937年 油彩、カンヴァス 38.1x46.2cm

この静物画も独特な丸みを帯びており、ルノワールの裸婦の丸みからここへ発展するとは驚き。

renoir nude in the water
ピエール・オーギュスト・ルノワール 《水のなかの裸婦》 1888年 油彩、カンヴァス 81.3x65.4cm

《髪飾り》と同じ年に描かれています。丹念に描かれた煌めくような白い肌は《髪飾り》の女性と共通しますが、水面の大胆な筆致により全く違う画風の絵のようにも見えます。恥じらいのポーズは伝統的に見られるアフロディーテのポーズと同じです。伝統的なイメージとルノワールの画風の研究が見事に融合した美しい作品です。

umehara kami
梅原龍三郎 《裸婦結髪》 1929年 油彩、カンヴァス

ルノワールに影響を受けた日本人画家で最も有名なのはルノワールに師事した梅原龍三郎でしょうか。彼の初期の作品はルノワールの晩年の作品そのものと言っていいほどの影響を受けています。東京国立近代美術館が所蔵する《黄金の首飾り》は、ずばりそのものです。ポーラ美術館が所蔵する梅原龍三郎の作品は、日本的な油彩画の表現の作品でルノワールの影響を直に感じられるものではありませんが、ルノワールの《髪かざり》と同じ主題なのが面白いです。この2点は同じコレクションに入る運命にあったとしか思えません。

renoir after the bath
ピエール・オーギュスト・ルノワール 《水浴の後》 1915年 油彩、カンヴァス 38.8x50.5cm

日本で見る機会が多い晩年の作品です。日本人で最初にルノワールの作品を購入したのは、画商の林忠正で、1890年代~1906年には日本にもたらされたとされています。画家の山下新太郎は、1909年に梅原龍三郎とルノワールのアトリエを訪ね、《水浴の女》 1907年頃 (現在ブリヂストン美術館蔵)を購入しています。その作品は1912年の第4回白樺美術展で公開されました。日本で初めてのルノワールの公開でした。大原美術館に所蔵されている《泉による女》 1914年は大原孫三郎がその年に購入しています。というのも安井曾太郎が直接ルノワールに交渉して描いてもらっています。

画業の前半の作品より価格が安いのも大きな理由だと思いますが、当時は晩年のルノワール作品を購入する機会が多かったのも現在日本に後期の作品が沢山ある理由の一つでしょう。

pola bonnard
ピエール・ボナール 《地中海の庭》 1917-1918年 油彩、カンヴァス 138.6x197.3cm

ボナールは、1897年、文芸誌「ラ・ルヴュ・ブランシュ」に掲載された自作を高く評価されたことを機に、パリでルノワールと交流を始めています。間違いなくボナールの絵ですが、この色彩感覚は晩年のルノワールの黄色や赤、オレンジを見ているようです。

pola nakamura
中村彝 《泉のほとり》 1920年 油彩、カンヴァス 65.1x50.0cm

中村彝もルノワールに傾倒した画家の1人です。ルノワールだぁって思うくらい影響が凄いです。この作品はルノワールの絵の模写と言われていた時期があったそうですが、中村のオリジナルです。それくらいよくできているということでしょう。

コレクションだけでこれほどの展示ができるとは今回もポーラ美術館には感心の一言でした。

同時開催の「いろどる線とかたどる色」もとても面白かったです。パステル、水彩など主に紙に描かれた作品が一堂に並んでいました。ドガのパステル9点が一挙公開されていたのは圧巻でした。今まで様々な展示で見てきましたが、必ず前後期に分けられていて一度に見る事ができませんでした。照明を工夫し展示替えなしの公開だったそうです。

日本には20世紀のルノワールがいっぱいあるので、パリ・グランパレ、フィラデルフィア美術館を巡回した「20世紀のルノワール」を再構成して是非、日本でも開催してくれないかなあと妄想しています。

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ピエール・オーギュスト・ルノワール 《ド・ガレア夫人》 1912年 油彩、カンヴァス 114×162cm 個人蔵

4月12日、兵庫県立美術館で開幕した「夢見るフランス絵画 印象派からエコール・ド・パリへ」で公開中の大作です。凄い豪邸で描いたのかと思ったら...背景は想像なのでしょうか。この展覧会は某企業の個人コレクションから71点が並びます。この作品は日本にあるのは知っていましたが、まさかこんな大きなコレクションの1つとは知らず、また今回公開されるコレクションの存在も全く知らなかったのでただただ驚いています。秋にはBunkamuraザ・ミュージアムに巡回するので待ち遠しいです。

renoir sannou
ピエール・オーギュスト・ルノワール 《裸婦》 1915年頃 油彩、カンヴァス 山王美術館蔵

この作品が日本にあるというのはつい数年前に知り、こんな作品も日本にあるのかととても驚いたのを覚えています。モデルのアンドレー・フーシュリング、愛称デデと写った写真の背景に制作中か同構図の作品かわかりませんが、この絵と思しき作品が掛けられています。アンドレー・フーシュリングは後の女優カトリーヌ・エスランで1920年にルノワールの息子で映画監督のジャンと結婚します。この作品は現在、山王美術館で開催中の「珠玉の洋画コレクション展」で公開されています。10点ものルノワールが展示されているとのことで激しく見たい!

Ambroise Vollard
ピエール・オーギュスト・ルノワール 《闘牛士姿のアンブロワーズ・ヴォラール》 1917年
油彩、カンヴァス 103.0×83.0cm 日本テレビ放送網株式会社蔵

この衣装を着たヴォラールの写真をパリのジョルジュ・ルオー財団が所蔵しています。日本テレビの美術コレクションは凄いそうで美術館構想もあったとか。今からでも作って欲しいですなあ。

制作当時、写真に撮られたこれらの貴重な作品が日本にあるんですね。驚きです。きっと他にもまだまだあるはず。

ルノワールの知られざる名画と言っていい作品が5月6日にクリスティーズオークション、ニューヨークのセールに登場します。

下に紹介するルノワール3点とモネ1点は、全米でロックフェラーに次ぐ富豪と言われた鉱山王ウィリアム・アンドリューズ・クラーク(1839-1925)の娘、ヒューゲット・クラーク(1906-1911)が蒐集した作品です。

Young Women Playing Badminton Huguette Clark collection May 6 in New York. (Christies)
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《バドミントンをする若い娘たち》 油彩、カンヴァス 1887年頃 54.6×65.2cm

予想落札価格 $10,000,000 — $15,000,000 (10億4000万~15億6000万円)
※1$=104円換算

輪郭線も色彩も硬いアングル様式による名品です。この作品の人物だけを抜き取ったような鉛筆による習作がプラハ国立美術館に収蔵されています。その習作は私が初めて見た展覧会である1993年に東武美術館で開催されたルノワール展に出品されていました。背景のない人物だけの習作ですが、人物の配置やポーズは完成作の油彩と全く同じで、一番左側の女性の描写は、油彩の色彩だけを抜いたような描写でドレスのヒダなどまさにこの絵の通りしっかり描かれた物でした。全体的にほわほわ~としたルノワールがメインの展覧会だったので緻密に描かれたその習作は他のルノワールと違うなととても印象に残りました。それ以来、完成作を見たいとずーーーと頭にあったものの何故か図版を見る機会がなく、今日まで来ました。今回、オークションに出るということで図版が公開されたのですが、色のない習作の世界感がそのまま完成作になっていて感動しました。後にアングル様式独特の乾いた色彩があるというのを知ったのできっとそういう色なんだろうなとは思っていましたが、ここまで美しい完成作だったとは!

探し求めていた作品の図版を見られて感動していましたが、大変幸運なことに実物を見ることができました。今でも信じられません。下見会があることを偶然3日前に知り、何とか見ることができました。危なかったぁ。もう今年の運を使い切ってしまったかも。

実物も画像のように素晴らしい発色で、結構な大作なのかなと思ったのですが、以外とよくあるちょうどいいサイズの作品でした。下書きは鉛筆ではなく一定の細さのラインで描かれていたので恐らくペンでした。それが一部、絵の具の下に透けて見えていました。人物の輪郭やドレスなどにも多数のペンのラインが見える所があり、少し離れて見るとその下書きのペンも絵の陰影や立体感の一部になっていてこの独特の画面を作り出していることに気づき面白かったです。右奥のシャトルを打とうとしている女性の左腕もペンのラインが透けて見えていました。ペンで腕を細く描きすぎたのか絵の具で腕を太く描き直しているのですが、下書きのラインはまんま見えているのです。中央で傘を持って座っている女性のドレスの描写も衝撃でした。左腕の水色に青のライン部分ですが、この青の中に細い線描が幾本も引かれていてとにかく細かいのです。ガラスなし柵なしなので細かく見ることができました。細かすぎる人物描写に対して背景は自由なタッチで違いがあるのでまるで人物が宙に浮いているように見えるのがちょっと面白いです。

1931年にミネアポリス美術館が収蔵していますが、何故か1958年には手放しています。1958年にヒューゲット・クラークが取得しています。彼女に蒐集される前までは展覧会に10回以上展示されていますが、最後に公に展示されたのは1955年にロサンゼルスカウンティ美術館とサンフランシスコ美術館(現サンフランシスコ近代美術館)で開催されたルノワール展です。それから半世紀以上非公開が続きますが、2010年封印が解かれます。ワシントンD.C.のコーコラン美術館に貸し出されたのです。2010年4月から2013年12月までの展示されました。本当に幻と言っていい作品です。図版を見る機会がなかったのも納得。

renoir Femme à lombrelle
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《日傘をさす女》 1873年 油彩、カンヴァス 46×38.3cm

予想落札価格 $3,000,000 — $5,000,000 (3億1200万~5億2000万円) ※1$=104円換算

モネの最初の奥さん、カミーユ・モネを描いたとされる作品です。肌の色が信じられないくらい透き通っていて本当に美しかったです。後の肌色とは違う初期ならではの肌色とピンクの説明のできない美しさ。丁寧に描かれた顔に比べ、背景の緑と服のストライプの描写が大胆でその違いがまたよかったです。ストライプ部分は絵の具がこんもりなっちゃうくらいに描かれていました。傘に使われた鮮やかな黒も画面を引き締めていて美しかったです。1929年、フォッグ美術館で開催された19-20世紀フランス絵画展に展示されましたが、その年にヒューゲット・クラークが取得して今日まで秘蔵されていました。

Huguette Clark renoir chrysanthemes
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《菊》 1876年-1880年 油彩、カンヴァス 65.5×54cm

予想落札価格 $3,500,000 — $5,500,000 (3億6400万~5億7200万円) ※1$=104円換算

ジャポニスムを象徴する菊を溢れんばかりに描いた作品。この作品も本当に素晴らしかったです。足の分かれた花瓶も東洋風の物でしょうか。
この作品の来歴はデュラン=リュエル画廊、ニューヨークが最初でヒューゲット・クラークが入手するまで3度持ち主が変わっていますが、いずれもニューヨークで所蔵され続けてきました。デュラン=リュエル画廊、ニューヨークが最初の持ち主に売る1886年までにはアメリカへもたらされています。展覧会歴も1886年のニューヨークが最初の記録になっています。もしかしたらフランスでも未公開!?

Huguette Clark monet
クロード・モネ 《睡蓮》 1907年 油彩、カンヴァス 100.1×81.2cm

予想落札価格 $25,5000,000 — $35,000,000 (26億~36億4000万円) ※1$=104円換算

予想落札価格が凄まじい(笑)。この作品は1926年にアメリカ建国150周年を記念して開催されたフィラデルフィア万国博覧会に1月から12月まで展示されました。公に出たのはそれが最後で、1930年にヒューゲット・クラークが購入してからは完全に非公開になったそうです。

約15点あるとされている同構図の縦長のカンヴァスの作品が日本の美術館に3点あります。

monet nympheas japan 1907
左:クロード・モネ 《睡蓮》 1907年 油彩、カンヴァス 100.6×73.5cm ブリヂストン美術館蔵
中:クロード・モネ 《睡蓮》 1907年 油彩、カンヴァス 92.5x73.5cm 川村記念美術館蔵
右:クロード・モネ 《睡蓮》 1907年 油彩、カンヴァス 100.0×81.0cm 和泉市久保惣記念美術館蔵

国内にある作品は水面に木々の影が濃く反映されており、ピンクやオレンジが強いので夕方前後の作品になるのでしょうか。それとも日の出?ヒューゲット・クラークの作品は白みがかっていて木々の影が薄いので午前の早い時間帯でしょうか。

国内にある作品は、空を映す水面部分と木々の影が映る部分が完全に違う色で描かれているのに対して、ヒューゲット・クラークの《睡蓮》は、画面全体が青、水色といった感じで絶妙な諧調で表現されており、国内にある作品とは違った印象を受けました。画像で見ると青みが強く平坦な感じに見えますが、実物はもう少し白みがかっており、水面の揺らめきで刻一刻と変わる光の反射、水の奥に差し込んでいる光まで捉えたかのような素晴らしい睡蓮でした。近年オークションに出た縦長の睡蓮は10億円を超えるくらいで落札されていますので今回の26億~36億というのはべらぼうに高い評価額だと思います。が、シリーズ中、最高の質とも言えるほどの出来で88年ぶりに公に出てきたのも考えると高いのも納得です。

会場にはヒューゲット・クラークのルノワール3点とモネ1点、さらに他のコレクターからのルノワール1点、ピカソ3点、マティス1点、ノーマン・ロックウェル1点の計10点が並んでいました。

ルノワールの4点のチョイスは印象派の黎明期の頃、印象派の時代、アングル風、さらに印象派の技法に戻った1890年以降の作品と見事に揃えられており素晴らしい組み合わせでした。ピカソの1点に1922年の新古典主義の時代に描かれた作品が含まれており、ルノワールの作品と合わせて見られたのも本当に嬉しかったです。

クラーク家の他の絵画や工芸品などもカテゴリーの違うオークションに掛けられるそうです。一体いくらで落札されるのか凄く気になる!
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| | 2014-04-15 (Tue) 21:17 [編集 ]


クラーク家秘蔵のルノワール、どれも優品ですね。ぼくもルノワール好きで東武美術館の展覧会行ったはずなのに、その素描習作の記憶がない。ちゃろうさんみたいに真剣に願っていると、いつか叶って本当に実物を観ることも出来るんですね…。オークションでいいかたに落札されて、いつの日にかの再来日を願うばかりです。

ゆきお。 | URL | 2014-04-16 (Wed) 20:42 [編集 ]


ゆきおさん こんにちは。

コメント有難うございます。

東武美術館のルノワール展に行かれたのですね!東武美術館跡は民芸品を販売する店になり、昨年見に行ったらGAPになっていました(泣)。

クラークコレクション、できれば美術館に収蔵されてほしいですね。せっかく市場に出てきてまた個人に落札されて秘蔵されてしまうと悲しいですから。オークションの動向が気になります!

ちゃろう | URL | 2014-05-04 (Sun) 01:39 [編集 ]


 

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