美術展命の男のブログ

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ルノワール展 山王美術館

sannou renoir chirashi

大阪、難波にある山王美術館で開催中のルノワール展を見てきました。

ホテルモントレ グラスミア大阪の22階にあります。駅から直結で大変便利なところにあります。

sannou museum

美術館は画像の左下のところが入口。

22、23階が吹き抜けになっており、立派な教会があります!作者不詳のものも多いですが、いたるところにオールドマスターや近代の西洋絵画があちこちに展示してあります。これを見るだけでも結構楽しいです。

2010年に「ルノワール・梅原龍三郎展」が山王美術館で開催されたのですが、その時は美術館の存在を知らずに後になって開催を知り非常に悔しい思いをしました。今回のルノワール展はその時より増えたルノワールコレクション26点を公開しています。もう1点花の絵があるようで現在27点を所蔵しているようです。

受付の横のドアから展示室へ入ると目の前に日本画展示室と陶磁器展示室があり、現在は東山魁夷6点、杉山寧2点、堂本印象8点、斉藤真一8点の24点が展示されています。ルノワール展が気になってここはあとから見ました。横を見ると長い廊下の先にルノワールの《裸婦》がお出迎えしていました。

sannou museum renoir
《裸婦》 1918年 油彩・カンヴァス

素晴らしい晩年の傑作です。絵の具を何度も重ねたであろう絶妙な肌の表現が美しいです。オルセー美術館所蔵の大作《浴女たち》に匹敵するといっても過言ではない裸婦の名品だと思います。こちらも迫力のある大きな画面です。究極のルノワールの名品が日本にあるのが誇らしいです。

Renoir and Andrée at the artist’s studio at Les Collettes in Cagnes, 1918
モデルはアンドレー・フーシュリング、通称デデ。様々な作品に登場します。ルノワールの次男で映画監督のジャンと結婚します。 背景に写っているのは山王美術館の作品ですよね!?

《裸婦》の左右には長男のピエールと三男のクロードの肖像が掛けられていました。

sannou museum renoir2
《ピエール・ルノワールの肖像》 1888~1890年頃 油彩・カンヴァス 36.6×35.6cm

sannou museum renoir3
《クロードの肖像》 1908年 油彩・カンヴァス

二男ジャンも加えて三兄弟揃う日が来たら嬉しい。

sannou museum renoir LES AMOUREUX
《恋人たち》 1885年頃 サンギーヌ、白チョーク・カンヴァスに裏打ちされた紙 79.1 X 62.2cm 

こんな作品も所蔵していたことに驚きました。サンギーヌ(チョークのような画材)で描かれた作品です。日本でルノワールの紙作品(デッサン、パステル)を所蔵する美術館はありますが、サンギーヌで描かれた作品はどこかあったかな。非常に貴重な収蔵例です。六本木の国立新美術館で開催中のルノワール展にもサンギーヌで描かれた作品が来日しています。

renoir in the garden
《庭にて》 1885年 170.5 x 112.5 cm 油彩、カンヴァス エルミタージュ美術館蔵
※出品作品ではありません 

《恋人たち》はエルミタージュ美術館に収蔵されている《庭にて》に関連すると思われる作品です。下絵かな?《庭にて》は、旧ソ連がドイツで押収し、エルミタージュ美術館の地下倉庫に半世紀眠っていたという作品の1点です。「エルミタージュ美術館 秘匿の名画」という本で初めてこの絵の存在を知りました。

sannou museum FEMME NUE COUCHÉE SOUTENANT DES FRUITS
《果物をもった横たわる裸婦》 1888年 油彩・カンヴァス  59 × 151cm

今回、新コレクションとしてお披露目されています。描きかけなのがなんとも残念なのですが、作品の前に立ってみると裸婦の光り輝くような色彩の背中が美しいこと!描きかけ部分を補って余りあるくらいでした。全体が描きこまれていたら凄まじい名品になっていたかも。この作品は裸婦の背中を堪能する作品だと思いました。

2015年のサザビーズオークションに登場していた作品でした。$6,000,000 — $8,000,000(日本円 7億1770万円~9億5693円)

その時は、不落札に終わりましたが、紆余曲折?あって山王美術館が取得していたことを知った時はびっくりしました。

来歴を見ると1967年に上野松坂屋、愛知県文化会館美術館、大阪松坂屋、静岡松坂屋、福岡県文化会館で開催されたルノワール展が最後の展覧会出品だったので一般公開は49年ぶり!?ということになります。有り難い!

sannou museum renoir4
《鏡の中の婦人》 1877年

後期作品がメインの山王美術館のコレクションの中で最も早い時期の作品になります。カンヴァスではなくセメントを支持体とするものに描かれています。表面はざらざらでこぼこした感じでフレスコ画のような感じに見えます。シャルパンティエ家の壁画に嵌めこまれていた装飾図の一部だったようです。この作品はかつて縦長の画面で下部に花か植物が描かれていたようですが、切断されてこの状態になりました。縦長の画面の図版を見たことがあるのですが、同一作品だったとは...。切断された下部は今どこにあるのでしょう。

sannou museum TORSE NU
《裸婦》 1915年頃 油彩・カンヴァス 35×28.8cm

この作品は、池袋にあった東武美術館で1993年に開催された「ルノワール展」に出品されていました。山王美術館で見た時はすっかり忘れていて(汗)、後日ルノワール展のカタログを見ていてあ!っと思い出しました。山王美術館で気づけなかったのが悲しい。小品ですけど晩年のルノワールらしい作品です。2015年にサザビーズオークションに登場した作品(£400,000 — £600,000/7769万~1億1653円)この時は不落札)なので山王美術館が取得したのは最近のことだと思います。

sannou museum PORTRAIT DE JEUNE FILLE
《少女の肖像》 1895年頃 油彩・カンヴァス 41.3×32.1 cm

くりっとした目、健康的な丸みのある顔、ボリュームのあるブロンドの髪...描きかけではありますが、魅力的な作品でした。
1975年からカナダのオンタリオ美術館に一時寄託されていたこともありました。そのまま寄贈や購入がなかったから日本で見られているのですね。

sannou museum JOCASTE
左 《イカオステー》 1895年頃 油彩・カンヴァス 96.1×36.4cm
右 《オイディプス王》 1895年頃 油彩・カンヴァス 96.1×36.4cm  ※出品作品ではありません。

丸紅株式会社が所蔵するギリシャ神話に題材を得た装飾画《神殿の舞》とほぼ全く同じ図柄の《イカオステー》が展示されていてびっくり。この2点は揃って1979年に伊勢丹美術館と京都市美術館で開催されたルノワール展に出品されています。2004年のサザビーズオークション、ロンドンにて2点とも競売にかけられています。同じ人に落札されたようで2012年に再びサザビーズオークション、ロンドンに揃って登場しています。

《イカオステー》は予想落札価格£70,000 — 90,000(8560万~1億1005万円)のところ£99,650(1億2185円)で落札され、《オイディプス王》は予想落札価格£60,000 — 80,000(7337万~9782万円)のところ£99,650(1億2185万円)と予想落札価格はそれぞれ違いましたが同価格で落札されています。別々の人に落札されてしまったのでしょうか。《オイディプス王》も揃ってたらより迫力があったでしょうね。

《鏡の中の婦人》 と合わせて装飾家としてのルノワールの仕事を見ることができる作品です。

sannou museum FEMME À LA FENÊTRE AVEC VUE SUR LE VIEUX NICE
《ニースの旧市街を見下ろす窓辺の女性》 1918年 油彩・カンヴァス 56.2×43.2 cm 

sannou museum LA LECTURE, DEUX FEMMES AUX CORSAGES ROUGE ET ROSE
《読書~赤とピンクのブラウスを着た二人の女性》 1918年 油彩・カンヴァス 54×67cm

左側のモデルは冒頭の《裸婦》と同じデデが務めています。ルノワール特有の赤や黄色など暖色系が主役で描かれています。背景の左上の青がいい感じに画面を引き締めています。この作品も名品ですねえ。

山王美術館のコレクションに入る前ですが、この作品は2009~2010年にパリのグラン・パレ、ロサンゼルスのカウンティ美術館、フィラデルフィア美術館で開催された「20世紀のルノワール展」のフィラデルフィア会場に出品されています。「20世紀のルノワール展」はルノワールの晩年に焦点を当てた展覧会でした。山王美術館のルノワールコレクションは晩年の作品、20世紀に入ってからの作品が多いのでプチ20世紀のルノワール展を大阪で体験しているようでした。

sannou museum Jeune roumaine assise
《座るルーマニアの若い女性》 1915年 油彩・カンヴァス 44.5 x 29.9cm

白と青が映えます。この作品は2003~2004年に広島県立美術館と渋谷のBunkamura・ザ・ミュージアムで開催された「モネ、ルノワールと印象派展」に出品されていました。この作品も山王美術館で見た時は過去に見たことを忘れていて後日カタログを見て気づく(笑)。近年市場に出てきたようなので当時は違う所有者だったと思われます。

sannou museum POÊLON ET FRUITS
《鍋と果物》 1885年 油彩・カンヴァス 17.6×38.1 cm

sannou museum REINES-CLAUDES
《西洋すもも》 油彩・カンヴァス 24.3×46cm

晩年のルノワールの描く果物がとても好きです。リウマチで身体が自由に動かなくても精力的に大作にも挑んでいますが、小さな画面は制作しやすかったのでしょう。とんでもない数が世の中に出回っているはず。

sannou museum Sucrier
《砂糖壺》 油彩・カンヴァス

静物画は3点展示されていました。晩年の静物画は小さくてかわいくて家に飾りたくなります。こういった作品は価格帯からもいまだに個人蔵に多くが収蔵されていると思われます。ルノワールの静物画は国内の美術館にはあまりないように思われます。一堂に見てみたいものです。

sannou museum PORTRAIT DE FEMME
《庭の婦人》 油彩・カンヴァス 21×15.2cm

sannou museum PAYSAGE ET CHAPELLE
《チャペルのある風景》 1899年 油彩・カンヴァス

sannou museum Les Martigues
《マルティーグ》 1888年 油彩・カンヴァス 54×65cm

1880年代のアングル風の作風が見られる画面です。これは夕暮れの直前の光景でしょうか。強い日差しが建物に当たり水面にも反射しているように見えました。空もこれから夕方にさしかかるような。朝ではないですよね?そんなことを想像するのも楽しい画面でした。

sannou museum Paysage (Cagnes)
《カーニュ風景》 1910年

sannou museum renoir5
《村の入り口》

pola museum renoir essoyes
《エッソワの風景、早朝》 1901年 油彩・カンヴァス 46.8 x 56.3 cm ポーラ美術館蔵
※出品作品ではありません

《村の入り口》を見た時、ポーラ美術館の作品が頭に浮かびました。比べてみると構図がそっくりです。ポーラ美術館の作品は1901年の作品ですが、もっと前の作品かと思うくらい丁寧に仕上げられています。《村の入り口》は制作年不詳ですがいつ頃でしょうか。

sannou museum Paysage (les arbres)
《風景(樹々)》 1895年頃

人物画、静物画、風景画と一堂に並ぶと圧巻でした。

小さな作品《カーニュのラ・メゾン・ド・ラ・ポスト》 1907年でルノワール展は幕を閉じます。

このころルノワールは郵便局の建物に住んでいたとのことです。手紙を出したり受け取ったり、作品の発送など便利だったでしょうね。

紹介していませんが、他に横たわる裸婦を描いた《水浴みの後》や《屋外で読書する女性》、《金髪の女性の胸像》、《風景》1895年頃などもありました。

ここで紹介した画像の作品の多くがここ4~5年にクリスティーズオークションやサザビーズオークションに登場したものでした。ほとんど不落札に終わっていましたが、他で取引されたのか山王美術館が取得していてよかったよかった。

16点の油彩を持つポーラ美術館のルノワールコレクションが日本で一番ルノワールを持っていると思っていましたが、山王美術館は油彩27点!(今回は26点の展示)公開されているコレクションでは日本一の収蔵数なのではないでしょうか。今後もコレクションが成長していくと思います。

後期のルノワールを存分に堪能することができました。人物、静物、風景と揃えられていたのがとてもよかったです。

収蔵品から藤田嗣治展や佐伯祐三展、横山大観展を開くなどとても気になるコレクションです。他館に貸し出さない、借りないという決まりがあるので制約があるのが少し残念ではありますが、今後が楽しみな美術館です。

山王美術館にぴったりなルノワールの後期の名品が先日サザビーズオークション、ロンドンに登場しました。山王美術館の白眉《裸婦》と同じモデル、デデがモデルを務めています。

FEMME ARRANGEANT DES FLEURS OR LA FEMME AU BOUQUET - ANDRÉE
《花を生ける女性もしくは女性と花束-アンドレ》 1917年 油彩・カンヴァス 54 × 65.5cm
個人蔵

サザビーズオークション、ロンドン  2016年6月21日
印象派&モダンアート イブニングセール

予想落札価格 £800,000 — 1,200,000 (1億2276万~1億8415万円)
落札価格 £1,265,000 (1億9412万円) £1=154円換算

初めて存在を知りました。素晴らしい作品です。ルノワールによる肖像画も残されているコレクターだったモーリス・ガニャンのコレクションにあり、競売に掛けられてもその息子が取得し今日まで親族が所有していたようです。最後に展覧会に出品されたのが1956年ですからオークションによって60年ぶりに人目に触れる機会が訪れたということになります。初めて存在を知るのも納得の知られざる名画です。オークションは終わっていますが、山王美術館に入ってほしい!(笑)
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